Anselm, from Proslogion
なんだこれ
アンセルムスの主著の一つで,対語録の意。 1078年の作。別名『神の存在についての対話』 Alloquium de Dei existentia。『モノロギオン』を受けてさらに体系化されたもので,神の本体論的証明を主題としており,それ自体で十分であり他のあらゆる証明の根拠となりうる唯一の証明を試みている。われわれは神の存在を信じ,神よりも大きなものを考えることはできないと信じている。愚者でさえも存在しうるかぎり最大であるものについての観念をもつ。この前提に従って彼は次のように論証する。神はそれ以上大きなものが考えられないようなものである。ところでそれ以上大きなものが考えられないものは,ただ観念としてではなく実在性をもたねばならない。それゆえ神は実在する。もし神が実在しなければ,人は神の観念をもつことができない。ガウニロは理想上の幸福の島の観念が必ずしもその実在性を保証しないとして駁論を企てた。アンセルムスは神と幸福の島を完全な存在性の観念という点で区別し反論している。ボナベントゥラ,ドゥンス・スコツス,デカルト,ライプニッツ,ロスミーニらはなんらかの形でアンセルムスの証明を支持するが,トマス・アクィナスは否定する。